最近、ナイトクルージングと称した真夜中の散歩が好きだ。
空気が冷んやりして気持ちよく、静かな都会の街を一人占めできる。
緑が多い場所柄、歩いていると漂ってくる植物のいい匂い。
その匂いは朝より夜の方が濃い。
汗をかいて働いた夕刻、体臭が強くなる人間と同様であろうか。
日中、精一杯光合成に励んだ証だろうか。
植物のそれは、男性の体から立ち昇る匂いにとてもよく似ている。
機敏で獰猛な肉食動物と比較され、ひ弱なイメージの植物。
だが実際はどうだろう?
匂いが自分自身の誤解をといてくれた。
動けない植物は、食べられまいとしてそれぞれの天敵に対抗する毒を体に持っている。
生命を繋ぐ受粉や種子の運搬を、自力ではなく他の力を借りて、いや、それと気付かぬうちに他が勝手に行う仕組みを作っている。
一年中、太陽や雨風に曝され何もコントロールできない環境下、あらゆる外敵から逃げられない極限ピンチの中で、大地にたくましく根を張りライフサイクルを全うする。
しかも四季折々、人間の目を癒し楽しませる麗しさ。
植物はイメージを裏切る。
実はとてつもなく生命力が強く、度胸と包容力があり優美、かつ叡智を備えた生き物だ。
結論。
植物はセクシーである。
コメント