14/10/31

posted by
j-tanioka

イチノセ詐欺

【カテゴリー】 街のこと


仕事帰り、道を歩いていたらイチノセと名乗る男に声をかけられた。

人の目をちゃんと見て、はっきりとした声で話す、まだ30歳前後の若い男である。



男いわく、財布を盗られてお金がない。

なので200円貸して下さいという。



は??である。



この男、ホームレスにしか見えないのだ。

財布は盗られたであろうが、家まで盗られたわけではあるまい。

一体200円ぽっちで何を買うつもりであろうか?

200円で足りるのかと好奇心で聞いてみたが、戸惑った様子で返事はない。



激昂して刺されたら怖いので

周りに人がいるかを気にしながら男の話を聞いてみた。



自分は今はこんな風だけど、自営業をやっていて

これから必ず復活すると言う。

そしてよければ友達になってほしい旨をのたまった。

要は泊めてほしい、と言っているのであろう。



この男の無礼に苛立ちを感じた。





初めてのケースに、これは一体どういう現象なのかを考察することした。

この男、ホームレスにしては何かがちぐはぐなのである。



この男は、本当は普通に生活している人であるが、

何かの実験を試みているのであろうか?

人は一体いくらまでなら見ず知らずの人にお金をあげれるのか、

という実験か?

それとも、まだまだ豊かな日本で

ホームレスとして生き抜く知恵なるものを試しているのであろうか?



いや、実験なら大きな勘違いをしている。

ウソの前提に端を発したものは、所詮、ウソの結果、ということだ。





いずれにせよ、一つの結論に達した。



この男は、そもそも働く気などない、ということだ。

本気で復活する気ならば通りすがりの見ず知らずの人から

お金を借りる(乞う)ことはない。

少額の提示をするあたりがそもそも返す気のない証拠だ。

こうやって広く浅くお金を集めれば、上手くいけばその日は暮らせるであろうから。



この男は分かっていない。

小さなウソで人の好意を喰い物にし、お金を掠めていく度に

お金では測れない負債を負っていくことを。

日々のその行為が男の心と体を蝕んでいくことを。



この男は分かっていない。

本当に復活したい時には、もうこの男の中に何も残っていないことを。

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